アメリカ合衆国は連邦国家であり、今現在50の州から成り立っています。そのそれぞれの州には州の旗「州旗」が存在します。州旗はそれぞれの地域の歴史や特徴を象徴した独自のデザインをしており、州の国民に愛される存在です。その中でも特に有名なのが「ローンスター」の愛称で知られるテキサス州の旗です。
白い星が彩られた州旗。ローンスター「孤独な星」と呼ばれる州旗を掲げるテキサス州の愛称はアメリカ国民に同様に「孤独な星の州」と呼ばれています。州旗を愛するアメリカ国民の中でもテキサス州の住民は特にこの旗を愛し、また尊敬を持って彼らに扱われています。それは何故か。
その理由は以前、この旗を国旗としていたテキサスの歴史が影響しています。余談ですが、ハワイやカリフォルニアも同様に以前はその旗を国旗としていた歴史がありました。Xserver Business
フラッグのデザインについて
アメリカ合衆国の正式な法律で定められたテキサス州の州旗のデザインは以下の通りになります。
1.長方形で幅と縦の長さの比率が2:3である。
2.頭に配置される青い縞が旗の長さの3分の1の割合を占める。
3.その横、水平方向に等しい線を引き、上の縞には白を、下の縞には赤を彩り、それぞれが旗の長さの3分の2を占めること。
4.白い五芒星を青い縞の中心に添える。
5.その星の頂点が上をまっすぐに向くように配置するこ事。
6.青の縞の面積部分の4分の3を五芒星の円周が占めること。
採用の来歴
1838年12月28日、当時の上院議員であるウィリアム・H・ウォートンによりテキサス共和国の議会にて、ローンスターの旗が導入され、最終的に1939年1月25日にテキサス共和国の国旗として採用が決まりました。余談ですが、ピータークラッグによってこのローンスターの旗が法令の書類に描写され、、当時の共和国大統領であるラマー大統領によって書類が承認された時、描写された旗のデザインは上下逆様になっていました。
1845年12月29日にはアメリカ合衆国の28番目の州として、また国旗とされていたこのローンスターの旗は州旗として暫定的に採用されることになります。テキサスがアメリカ合衆国に併合された瞬間でした。
1879年から1933年の間、ローンスターは公式の州旗ではありませんでしたが、事実上の州旗とされていたのです。
何故正式に認められなかったのか。それは1879年の民法改正の際に、効力を発揮していないような法令を全て廃止しました。その改正の際にこの旗に関しての法令が含まれず、結局1933年の旗に関する法令が定まるまで正式の旗という事にはならなかったのです。
実際にこの旗をデザインした者が誰だったのか、それはいまだに分かっていません。中にはチャールズ・B・スチュワート博士という人物が設計者、または第3回の議会で使用された画像を描いたと主張するものもいるようですが、いまだに謎のままです。逆様になったラマー大統領のサインが含まれたピータークラッグのデザインを模倣したようにも疑える、ともスチュワートの絵は言われています。
その色は何を象徴しているのか
まずこの旗に使用されている、赤、白、青の正確な色合いはアメリカ合衆国の国旗と同じ色合いである事がテキサスの州法で定められています。
青色は忠誠心
白は純粋
赤は勇気
そして星は神と州、国の団結を表し、テキサスの全てを象徴しています。
赤と白の由来は、フレドニア共和国(今のなテキサス州東部に位置するナコドチェスの近くに存在した)が1826年にメキシコから離脱して強制的に州として再統合される間の反乱の歴史まで遡ります。
当時アングロ系の入植者とネイティブアメリカンの部族の同盟によって形成された連合は、旗にこの二つの部族を象徴する白と赤を使用しました。この反乱は最終的に失敗に終わりましたが、純粋と勇気という象徴はテキサス革命へと受け継がれていきます。
孤独の星の州と呼ばれ愛されるテキサス州を象徴するローンスター。今日でもテキサスの独立精神の象徴として広く知られています。これはメキシコから独立を宣言した際に使用された事にも由来しますが、実はこの孤独の星はそれ以前より西フロリダ共和国(この共和国自体は短命であった)で使用されていた旗であるバーネット旗に使用されていました。
忠誠の誓約
「テキサス州の旗の元、また神の元で一つ、分かたれることのない国家として忠誠を誓う」
この忠誠の誓いは1933年にテキサス州議会で制定されたものです。当時はローンスターと呼ばれておらず、1836年のテキサスの旗と呼ばれていました。1965年にはこの1936年の部分は削除され修正されました。2007年には神の元で一つの国家という語句が追加されました。当時、神の元という語句の追加に対して異議が法廷にて申し立てられましたがこれは却下されています。
さて、忠誠を誓う際には決まり事があります。
誓約を暗唱する際には帽子を右手に持ち、その手を自分の心臓の上に置きます。もし制服を着ている場合は軍事式の敬礼を行いながら暗唱を行います。これは2017年現在の礼法として正式に制定されています。
都市伝説
都市伝説として一般的に知られているのは「テキサスの旗はアメリカ合衆国の国旗と同じ高さで掲げることができる唯一の旗である」というものです。この都市伝説が生まれたのには理由があり、テキサスが合衆国に加わる際に特別条項として権利を主張し交渉したという来歴があります。
もちろん決してそのような事はありません。アメリカがテキサスを併合する際の共同決議や併合の条例でも、旗に関する規定は含まれていません。米国の旗に関する法律により、どの州の旗もアメリカの国旗と同じ高さで掲げることができます。しかし、米国の旗は見るものから左側に掲げなければいけません。通常は米国国旗より下に掲げるか同じ高さで掲げています。