これはダイハツが今年4月に発覚した不正事件です。
その後、5月にも確認された別の不正行為に関する調査結果報告を受け、
「全車種の出荷を停止する(新車全車種の販売停止)」
という前代未聞の発表を実施しています。
ダイハツによれば、
①25の試験項目において、174個の不正が判明
②ダイハツブランドおよびトヨタ・マツダ・スバルへとOEM供給している車種を含め、64車種・3エンジンで不正
があったとのこと。
昨日の15時15分より本件についての記者会見を「ダイハツ・トヨタ共同」にて行うことにも言及しています。
なお、今後については、
「国土交通省をはじめ各国の関係機関へと相談の上、必要な対応を行ってゆく」
とだけ発表がなされており、出荷再開時期については現時点では言及されていない状態です。
そこで今回の発表に至るまでを振り返ってみます。
まずは2023年4月にタイの工場にて、
「認証を得るため、テスト時には市販車にはないパーツを取り付けたり、加工することで試験をパスしていた」
ことが発覚しています。
その後、5月には、
「側面衝突試験におけるデータを書き換える」
という不正も発覚しています。
これを受けダイハツは第三者委員会を組織し、かつトヨタの協力を得て以下の項目について調査を行っています。
↓
※重要
第三者機関であるTUVを間に入れるなど、自社のみで調査して証拠隠蔽を図らなかったことは素晴らしい。
スズキの排ガス不正事件の際には、
「関係者のみのヒアリング」
で終わってしまい、「トレースエラー」で片付けられています。
それに比べれば段違いの対応。
↑
そしてこの結果、わかったのが冒頭に紹介した①②の不正です。
ダイハツはこの報告を受け、国土交通省ならびに経済産業省へと内容を報告した上で、
「現在、国内外で生産中の全てのダイハツ開発車種の出荷を一旦停止することを決定した」
というのが現在までの流れです。
ただ、
・不正が発覚した後の迅速で公正な調査
・調査報告を受けて即日出荷停止
という素早い判断や、その数時間後に記者会見を開くという対応については高く評価しても良いかなと感じます。
加えてダイハツは、調査の最終段階にて、
・ダイハツ ムーヴ
・ダイハツ キャスト
・トヨタ ピクシスジョイ
・ダイハツ グランマックス
・トヨタ タウンエース
・マツダ ボンゴ
のエアバッグに関する試験において、
・量産品と同じエアバッグ展開コンピューター(ECU)が使われていない
・キャスト、ピクシスジョイの側面衝突試験における乗員救出性に関する安全性能(ドアロック解除)が法規に適合していない可能性
も判明しています。
これらについては、さらなる検証と原因究明を行うことについても発表済みとなっています。
さらにダイハツは今後の行動についても発表しています。
まず、現在把握している不正の原因は、
・不正対応の措置を講ずることなく短期開発を推進した経営の問題
そして第三者委員会からは再発防止策として、
・経営幹部から従業員に対する反省と出直しの決意の表明
・硬直的な短期開発の開発・認証プロセスの見直し
の2つについて提言がなされていると述べています。
「原因」についてもう少し深く見てみると、
↓
経営陣が現場を把握することなくその場限りの対応に終止し、開発日程の短縮を強要したため現場がこれに反対できなかった。
その結果、プロジェクトの進行が最優先され、法規を無視した企業文化が出来上がってしまった。
↑
と説明しており、
「すべての責任は経営陣にある」
と認めています。
なお、こういった潔さも評価できると考えています。
多くの企業のように、
「現場のせい」
にせず、経営者のミスであると明確に認めているから。
そしてこういった背景を踏まえて今後は、
「法令遵守を大前提に、経営、職場風土や文化、適切なモノづくり&コトづくりという3つの観点から改革に取り組む」
とています。
また、
「認証プロセスの改善やルールの整備、開発業務負荷の適正化、開発・品質保証・認証関連組織の再編、監査機能の強化」
を進めることについても言及しています。
今回の一件は、
「自動車メーカーとしての根幹を揺るがす事態である」
とダイハツ自身が言うとおり、非常に重大な不正行為です。
OEMを請け負うことで他社(トヨタ、マツダ、スバル)に対する責任も発生します。
ただ、一連の素早い行動や原因究明、対策の立案を行ったことは評価されるべきだとも考えます。
何より経営陣がすべての責任を認めたことなどからもダイハツは今回の問題を克服し、より良い会社となって製品をふたたび出荷するものと信じています。
お名前.com
—————————————————————————-
【本日の名言】『 ジェームズ・モンロー / 第5代 アメリカ大統領 』
—————————————————————————
全ての人は弱く、多くの人に悪い一面があるのは周知の事実だ。だから統治が必要なのだ。
Xserver Business