現在欧州にて大きな脅威となっているのが、先日から何度か触れている「中国製のEV」です。 環境意識の高い欧州では「日常的に移動手段で乗る」クルマにも高い環境性能を求める傾向が強くなっています。
よって多くの消費者がEVを選びたいと考えていると言われますが、そこで懸念となるのがその車両価格。
EVはガソリン車に比較して高価です。
趣味としてのクルマであればまだしも、
「足がわりのクルマ」
に、環境意識が高いといえど、割高な費用を支払うのは避けたくなるのが人というものです。
そこで欧州の人々に注目されているのが、
「欧米の自動車メーカーのEVに比較して大幅に割安な中国製EV」
となります。
消耗品である移動手段であれば安い方がよいとなるのは当然です。
事実、多くの人が中国製EVを選んでいる模様。
(中国製EVは欧米メーカーの同クラスのEVと比較して37%ほど安いという統計があるそうな)
そしてこの中国製EVに対し、強い警戒を見せていたのがステランティスのカルロス・タバレスCEOです。
ステランティスは、
・フィアット・クライスラー(FCA)
・プジョー・シトロエン(PSA)
とが合併してできたグループです。
そのブランド構成からして普及価格帯のクルマが多く、中国製EVに「モロ」にシェアを食われているというのが現状です。
よってステランティスは、様々な方法によって中国製EVに対抗する手段を講じている模様。
ただし、それらはすぐに結果が出るわけではなありません。
そこで今回発表されたのが「中国のEVメーカーとの提携」となります。
これはまさに、
「昨日の敵は今日の友」
ともいうべき事実です。
ステランティスの発表によれば、ステランティスは15億ユーロを投資して急成長中のEVスタートアップ「リープモーター」の株式21%を取得する模様。
そして、ステランティス本社のあるオランダに新たな合弁会社を設立し、そのうち51%をステランティスが所有することになると発表しています。
なお、この会社ではリープモーターの車両を中国国外に
・輸出
・販売
・製造
といった独占権を有することになります。
つまりステランティスは自ら、昨日までの敵のクルマを欧州はじめ、他の国や地域で販売することで利益を得るのだと思われます。
裏を返せば、
「そうでもしないと利益を失う一方」
ということなのかもしれません。
【別視点】
見方を変えると、この新しい会社は欧州市場での車両販売価格をコントロールできる権利を有することになります。
価格差を是正することで、ステランティスのクルマを脅威からある程度守ることができるようになるのかもしれないと考えるたりもします。
上述の通り、中国製EVは欧州へと進出しているものの、現時点では「まだ一部」のブランドしか上陸していません。
その理由は主に中国の新興EVメーカー側の「準備が整っていない」状況にあるとも言われています。
そしておそらくはリープモーターも、
「自社のみでは十分な準備を行うことが難しい」
状況にあったのだと思われます。
そういった状況において、今回のステランティスとの協業はリープモーター側にとっても渡りに船であったとも考えられます。
よって、今後発表されるであろう事業内容についても期待したいところです。
参考までに、中国の新興EVメーカーが「輸出」を目指すのは、すでに中国国内の競争があまりに厳しくなっていて利益を確保が難しい為です。
であれば価格優位性のある外国へと販路を拡大し、そこで販売を伸ばしてゆこうという意図に基づいている模様。
(要は新天地を求めている)
中国側は今後ますますその傾向は強まってゆくものと思われます。
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【本日の名言】『 徳川家康 / 天下人 』
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人間は、健康でありすぎたり、得意すぎたりする時にも警戒を要するのだが、疲れたおりの消極性もまた厳に戒めなければならない
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