どうなる日産

日本では完全にお騒がせな人となっている、カルロス・ゴーン氏が

『 日産は、私がCEOに就任する前の、 退屈で平凡な会社に戻ってしまった 』

とコメントしています。

これは同氏の著書である

『 Broken Alliances(壊れた同盟) 』

のプロモーションを兼ねてFox Businessのインタビューに対して語ったものです。

自身の退任と逮捕以来、日産は下り坂になっているとも語っているようです。

更に、
同氏が日産CEOを努めていた際に、社内の多くの人が、

『 ルノー・日産・三菱アライアンス 』

での協力体制強化を好まず、自律性の向上を望んでいたと語っています。

恐らく、著書の中でも徹底して日産の批判を行っているのではないかと推測されます。

この著書は、
同氏の視点から

『 なぜこのような事態になってしまったのか 』

を同氏の視点で

・自身が失脚したことについて

・日本政府と一部の日本人経営者は、ルノーと日産とのアライアンス関係において、フランスと日本との間に存在するバランスが尊重されていないと考えていた

・フランス政府は、この同盟において自分たちの発言のシェアをより大きくするように行動していた

ことに理由があると考えており、
日本側が『 フランスにコントロールされない 』ために、同氏を追い出したと主張しています。

正直なところ事実については現時点で明らかになっていません。

この事件については多数の『 登場人物 』がおり、
それぞれの視点からそれぞれの言い分があると思われるので『 誰が正しい 』のかは分からないのが現状です。

そして同氏は、

『 この事件に勝者はいない 』

と述べており、

『 日産は評判を失い、それはフランスも、日産も、ルノーも、三菱も同様で、株主すらも失った 』

と語っていますが、
これについては『 まさにそのとおり 』だと感じます。

今回の事件に関係なく、
同氏の個人的な評価は、『 誰もできないようなことをやったのは間違いない 』と考えています。

評価できる点を挙げるならば、

・GT-R復活
・フェアレディZ復活

だと思います。

これについては「マインド」面ではなく「ビジネス」面から評価となります。

当時、ニュースでも取り沙汰されていましたが、
当時の日産はお金がないため(現在進行形)、利益にならないスポーツカーを持たない状態でした。

よって日産のイメージは非常に希薄であり、

『 自動車業界で自分の居場所を見つけようと必死になっている 』

状況でした。

そして、
その状況では誰ひとりとしてスポーツカーを作ろうと考える役員はおらず、
同氏は就任以後、

『 ファンが作ってくれというクルマを持つメーカーは幸運であり、それを作らない手はない 』

と判断してGT-RやフェアレディZを復活させています。

もちろんこれは『 利益 』ではなく『 宣伝広告効果 』を狙ったものではあります。

『 あざとい 』ともとれますが、
これによって日産は

・ファンの気持ちに応えてくれる熱い会社
・車好きのCEOがいる会社

という認識を世に与えることに成功しています。

同時に、同氏はどんどん首切りを進め

・死刑執行人
・首切りゴーン

と呼ばれるまでになりますが、
そのコストカッターぶりは社外にもおよび、徹底して下請けからの購買価格を叩いています。
(これを機に日産を離れたサプライヤーも多い)

こうやって『 イメージ 』『 利益 』を急激に回復させたのが同氏の功績となります。

ただ、ファンの支持を得る反面、消費者からは見えにく部分で
『 自動車メーカーとしてはどうか 』と思われることも行っており、

大きく挙げるのすると『 品質の低下 』です。

コストを下げたために車両の耐久性が大幅に落ちていて、
これは訴訟やリコールが多発したことでも『 実際に起きていた 』ことが分かります。

もう一つは、『 フリート販売(法人のまとめ買い) 』に依存していたことです。

企業に対して『 値引きするから大量に買って 』と持ちかけ、まとめて納入します。
企業はリース契約にてクルマを導入するので、一定期間後にはこれが大量に中古市場に出てきます。
(米国におけるフリート販売比率だと、トヨタが10%であるのに対し、日産では最大30%)

そうなると中古相場が大幅に下がるので

『 日産 = 安い 』

というイメージができてしまい、
新車販売も思うように進まなくなってしまうわけですが、
それを回避するために個人に対する値引きも大きくなってしまい、

『 販売台数が増えているのに利益が増えない 』

という現象が発生しています。

要は

『 目先の売上を稼ぐために、問題を先送りしてしまい、そのツケが回ってきた 』

ということになります。

さらに言及すると、
日産は稼いだお金で新車開発を行わず、
長期間に渡って同じクルマを作り続け、

・ちょっとだけ見せかけを変える
・なんとなく新しく見える技術を搭載する

ことでその場をしのいでいます。

(リーフのような電気自動車にも投資していたので、未来を見ていなかったわけではない)

そして各セグメントにて

『 注力する車種 』

を決め、
その販売価格を割安に設定することで競争力を高めるという手法を採用しており、

・ミニバン:セレナ
・コンパクトカー:ノート
・SUV:エクストレイル

といった感じになります。

一方のトヨタは消費者の嗜好の多様化に対応しつつも

『 新しいプラットフォームや技術 』

を開発しており、消費者の利益にかなう会社運営を行っています。

ただし日産の場合は

『 車種を絞り、新しい技術やニューモデルを出さず、値引きに頼って販売する 』

という不健全極まりない、未来につながらない会社運営をしていたと認識しています。

それが現在においても、
新型フェアレディZが『 フルモデルチェンジではない 』というところにも起因しています。

上記を踏まえると、
日産の体質は最近になっても変わっておらず、
むしろカルロス・ゴーンのように

・思い切ってコストをカットする
・ちゃんと取捨選択ができる

経営者がいなくなったぶん、状況が悪化してゆくだけなのかもと感じます。

よって、
日産の今後について、

『 未来につながる投資をしておらず、その場しのぎで見せかけだけ 』

だと捉えており、
グローバル市場では今後韓国勢や中国勢に『 価格で 』押されることになり、

『 いいところがない状態 』になるんじゃないかと懸念しています。

このあたり、
同じように苦しい状況にあっても、

『 コツコツと、未来につながる、そして自動車メーカーとしてあるべき努力をしてきた 』

スバルとは異なる部分だなとも感じます。

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【本日の名言】『 徳川家康 / 天下人、征夷大将軍 』
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愚かなことをいう者があっても、最後まで聴いてやらねばならない。

でなければ、
聴くに値することをいう者までもが、発言をしなくなる

リーダーは、常にチームのメンバーから見られているものです。

そのため、メンバーの意見には等しく耳を傾けるべきで、

それを怠ると

『 部下の意見を聞かないリーダー 』

というレッテルをはられてしまい、
せっかくの金言を聞く機会すら失してしまうということを意味しています。

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