トヨタは先日、2023年3月期の決算説明会を行っています。
そこではいくつか興味深い内容がちらほら。 また、質疑応答においても質問者に答える形で様々なコメントが出ていていました。
まず興味を引いたのは「クルマをコモディティ化しない」ということです。
コモディティ化してしまうと容易に競争に巻き込まれてしまい、収益性が下がるということを意味しています。
トヨタとしては「製品中心の経営を行い、高付加価値製品を提供し、その上でお客様に選んでもらいたい」と考えているようです、
そして、その高付加価値化のひとつとして上げていたのが「クルマの知能化」です。
主に中国において顕著な、
「クルマのスマートフォン化(スマートフォンの延長線上のひとつにクルマがある)」
に対応する意向を示しています。
そして、トヨタが大きな課題として捉えているのは「資材価格の高騰」です。
これについては2023年3月期の「増収減益」の原因のひとつとなってもいます。
が、この資材高騰についはサプライヤーとの連携によって解決するとしています。
(見解の中では様々な手法に触れている)
そしてトヨタが海外のメーカーに比較しても、あまり値上げしていないことにも触れています。
これが、
「トヨタの利益を下げてしまったのでは」
という質問に対してトヨタは、
「お客様からの期待については、製品の品質の他に価格という要素もある」
と述べています。
つまり、
「この製品はこのくらいの価格であってしかるべき」
という期待が市場にあり、それを裏切るような値上げはできないと回答しています。
(値上げするならば顧客が納得するような付加価値をつけるべき)
つまり、市場の需給によって同じ製品の価格を上げ下げすることは本意ではないということ。
価格はあくまでも品質や機能に連動すべきであると考えており、ここはトヨタの良心だと受け取ることもできそうです。
なお、一時期問題となった
・チップ不足
・資材不足
については解消の方向にあるとされ、一時は200万台とされた国内受注残については現在80万台まで圧縮されているとのこと。
この他にも海外メディアからの質問もあり、ここで共通するのは「競争力」と「収益性」について。
競争力については
・EV戦略の遅れ
・中国市場での競争激化
が指摘されていますが、これについては
「中国市場が求めるクルマをタイムリーに供給する」
ことを目的として、中国での開発拠点での活動を強化することについて触れています。
収益性については2024年3月期においても2023年3月期同様の利益率(7%)を維持できるとして考えている模様。
こちらに関しては、
・サプライヤーとの協力による効率化
・設計や製造における効率化
によって、原価が高騰したとしても利益率をキープしたいと考えているようです。
EVに関しては、先日開催際された上海モーターショーを訪問したトヨタ役員から、
・驚きを禁じえない
・EVの競争が厳しくなってきているというよりは、EVの競争がすでに日常化し、普通の状態になっている
という声も出ており、トヨタの想定よりもEVシフトが早く進んでいることを認めています。
現在発売しているEVについては、
「航続距離や充電に関する顧客からの指摘」
を改善することで魅力を高め、お客様から選んでもらえるEVづくりを目指すというコメントしています。
収益性について海外メディアが気にしているのは、
「今後いっそう競争が激化する中で、トヨタとしてはどういった強みを発揮し、どうやって安売りしなくてもいいように差別化するのか」
ということのようです。
しかしこちらに関するトヨタの回答はちょっと歯切れが弱く、
・知能化
・コスト削減
といったところにとどまっていたように思われます。
こちらについてはまだまだ社内で協議中であり、明確な回答を導き出すことができていないのかなと考えます。
一方で期待がかかるのは、
「2026年に発売するという次世代EVのコンセプトカーを秋のモビリティショーにて展示する」
と述べていることです。
現時点ではどんなクルマなのかはわからないものの、未来のトヨタを示すひとつの例となることは間違いありません。
よって、眠れる巨人の動きを楽しみに待ちたいところではあります。
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【本日の名言】『 諸葛孔明 / 蜀の武将 』
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内部の守りを固めずに、外部を攻めるのは愚策である。
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