同氏が社長を努めた14年の間にトヨタ自動車は大きく変化したのは世間の知るところです。
「非常に退屈な車クルマを大量生産する会社」
から
「誰もに寄り添い、楽しむことができるクルマを発売する会社」
へと変貌を遂げています。
これまで「消極的選択肢」であったトヨタを「積極的選択肢」へと変革させています。
そして何より大きな功績は、
「自動車生産世界ナンバーワン」
の座を確固たるものにしたことです。
これは誰の目にも疑いようがない事実であり、ここに異論を挟む余地はありません。
そんな豊田章男 会長ですが、今回、自身の功績を振り返っています。
・トヨタがまた退屈な会社に逆戻りするかもしれない
・レクサスがEVブランドに切り替わることで販売機会が損なわれる
という懸念についても言及しています。
今回はディーラー代表団との質疑応答にて同氏は、
↓
トヨタが普通の企業に戻るのではないかと常に危惧しています。
そしてその恐怖が多くの人に広がった時には手遅れです。
社長という肩書があっても、私がトヨタを変えるのに14年かかりましたが、状況は一瞬で元に戻る可能性があると恐れています。
↑
とコメント。
なお、この会見での発言によると、同氏が2009年に社長に就任した際、トヨタ自動車は、
「市場シェアと販売台数」
を最重要視しており、つまりこれが最終的な目標であった模様。
ただし、同氏はこの目標を、
「結果」
へと置き換え、
「いいクルマを作れば、自ずと販売台数も増え、市場シェアも高くなる」
という意識改革を行ったのだそう。
これは至極もっともな考え方であろうと感じます。
要は、
「売上や市場シェア、利益」
だけを求めると、本筋を見誤ってしまう可能性が出てくるということなのかなと。
さらに同氏は、
「レクサスはつまらない」
と言われた時代を振り返り、これは2011年にペブルビーチにて新型GSを発表した時になされた指摘なのだそう。
この一言によって豊田章男氏は、
「より良いクルマを作る」
という決意が確固たるものとなり、「会社との戦いが始まった」とも語っています。
実際のところ、社長という立場にあってもそれまでのトヨタやレクサスを変革することは容易ではなかったそう。
たとえばレクサスのエンジニアリングチームに、
「つまらないクルマではなく、楽しいクルマを作りたい」
と申し入れたとしても、チームは、
「そういったデータも苦情もありません」
とだけ答え、そこで会話が終わってしまったと語っています。
たしかにレクサスは完璧に近いクルマであり、文句のつけようがないかもしれません。
が、それは、
「好きの反対は嫌いではなく無関心である」
という言葉に該当するのかなと。
レクサスに関しては多くの人々がなんら思い入れを持たず無関心であり、嫌いだと思えるほどの感情移入すらできなかったからなのかもしれません。
そこで同氏はなんとかエンジニアを説得するために、おそらく他社のより良いクルマを彼らに運転させた模様。
が、
「データ上では同じクルマです」
と判断されてしまい、
「エモーショナル」
という要素が排除されていたもよう。
ただし、そこからレクサスを変革し、今では新型GXやLBXのような「変わり種」の登場。
その他にも新しい価値観を持つモデルが登場することとなってきます。
豊田章男 会長はこういった、
「自身が行った改革」
が一夜にしてもとに戻ってしまうことを恐れているようです。
さらに、完全電動への移行期限を定めていないトヨタとは異なり、2035年に、
「EVのみのブランド」
へと移行することを発表したレクサスの方針についても懸念を示しています。
同氏はこれによって、
「レクサスのクルマを世界中全ての人々が購入できるわけではなくなることを意味する」
と述べています。
↓
現在、世界で約10億人が、充電やインフラの制約も含め、十分な電力が不足しています。
これ(2035年のレクサスのフルEV化)は、トヨタが全世界でフルラインナップを提供する一方で、レクサスを販売する地域が限定されることを意味します。
私たちはいつかそのような決定に直面することを覚悟しなければなりません。
↑
豊田章男氏はこれまでも「モノ言う経営者」であり、様々な意見を口にしてきました。
ただし、主にそれは社外の要因や世間の認識に対するものでしたが、今回は声高に社内に対する批判めいたものを口にしたのが印象的です。
こういった感情はおそらく一朝一夕で形成されたものではないと考えられます。
同氏は社長就任からいままでずっと社内では、
「孤軍奮闘」
そして社外からは、
「気候変動対策に対して熱心ではない」
と批判され続け、ずっと孤独を抱いていたのかもしれません。
これはかつて、社内でGazooプロジェクトを立ち上げたときも同様であったのだと思われ、社内外でかなり抑圧されてきたのかもしれません。
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【本日の名言】『 夏目漱石 / 作家 』
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牛になる事はどうしても必要です。
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