ユーロ7

ユーロ7を要約すると、

「自動車の環境性能を定める基準(これをクリアしないとEU内での車両販売ができない)」

というものです。

発端は1992年に導入されたユーロ1。

そして、現在適用されているのは2014年に採用されたユーロ6。

そして今、ユーロ7が2025年に導入されようとしています。

このユーロ7は、2021年4月に欧州委員会がその規制案を発表しており、その際には研究機関や識者で組織される諮問機関CLOVEから厳しい条件が示されています。

この規制内容としては、

「ユーロ6で定められる項目の炭化水素、メタン、窒素化合物などが2倍~3倍くらいの厳しい数字になる」

「新しく規制項目が4つほど盛り込まれる」

ということになっています。

これは達成が困難というレベルを通り越し「達成不可能」に近い数値となります。

もちろんこのCLOVE案に対して欧州の自動車業界(メーカーやサプライヤー)が猛反発を示しています。

様々な意見調整が行われ、欧州委員会はユーロ7の審議提案をおよそ1年延期しています。

が、2022年11月10日には正式な提案がなされています。

そして、結果的には当初のCLOVE案よりは穏やかなものにはなっています。

ただし、2027年頃に導入するとしていたユーロ7が2025年導入へと前倒するといった変更が加えられています。

要は、

「規制内容を緩めるから前倒しで実施」

という内容となっています。

そして、ユーロ7に盛り込まれた上限をクリアするための難易度が高いままであることにも変わりがありません。

規制に対応するためには、デバイス等の追加コストや重量、そしてバッテリーへの負担が増加します。

重量が増えるということは燃費も悪くなります。

しかし、燃費の悪化は認められないとくるのでなんとかしなくてはならず、、、。

でも、電力使用量をカバーするためにバッテリーも大きくする必要が出てきてどうしようもないといった事態に陥ります。

(明らかにこれは本末転倒)

この他にも様々な規制に対応するためのパーツやコンポーネントの改良、デバイスの追加が必要となります。

よって、自動車メーカーはこれらに多大なるコストを投じなくてはならないということになります。

これに対応するとどうなるか?

そのぶんクルマが大きく複雑になり、より高価になるということを意味していています。

これは消費者にとっては全然歓迎されない内容となります。

こういったユーロ7の内容を見ると、自動車メーカー、サプライヤー、消費者にとっても

「全くもって現実的」

ではなさそうです。

これに反対しているのが

・フランス
・イタリア
・ルーマニア
・ブルガリア
・ポーランド
・ハンガリー
・スロバキア
・チェコ共和国

といった8カ国です。

EU加盟27カ国のほぼ3分の1を占めている状態です。

この数は欧州委員会によるユーロ7の提案を阻止するのに十分な議決権を持つのだそうな。

実際にこれら8カ国は、

・新しい排出ガス規制
・自動車とバン(商用車)の新しいテスト要件

に反対する共同文書に署名したとされています。

ほかの国々がこれに賛同すれば、ユーロ7の見直しがはいる可能性が出てきます。

いくつかの自動車メーカーも公式に批判を行っています。

・内燃機関に関する規制は無意味であり、環境に何の変化をもたらさず、自動車業界には悪影響を及ぼす。

・ガソリン車の価格が上昇し、購入者に余計な負担を強いることになる。

・未来の技術に対して自動車メーカーが投資できる環境を作るべき。

といったコメントを発しています。

これに世論が同調するようになれば、風向きが変わる可能性が出てきました。

ただし、すでにユーロ7の導入に向けて、

・大排気量エンジンなどを「廃止」してしまった自動車メーカー。

・工場を電動化シフトさせた自動車メーカー

も数多く、

・ユーロ7の導入先送り
・ユーロ7の規制内容緩和

が決定されたりすると、

「本気か・・・」

となるのかもしれません。

こういった懸念もあり、現代は「素早く動かねばならない」状況ではあります。

ただし、その舵取りを間違えるととんでもないことになります。

なので、選択肢は多く持つ方がいいのだろうなと感じます。
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