自動車ライトの最先端を行くのが、
①アウディ・フォルクスワーゲングループ
②BMW
です。
高級車のポルシェですが、①に属しています。
そんなポルシェが、新型カイエンに装着されるヘッドライトの技術を解説するコンテンツを公開しています。 このヘッドライトは新型カイエンのハイライトとも言えるものです。
「65,536個のLED」にて構成され、ただ明るいだけではなく、必要なところを必要に応じて照らすという機能が備わっているそうな。
そしてポルシェによると、前面に投影された光はまさに、
「光のカーペットのようだ」
と表現しています。
このカーペットは、、、
・先行車に近づくと「短く」
・車線変更を行う際には「複数車線」を照らす
そうな。
この光のカーペットは「車線に沿って」長方形に展開されると説明されています。
理解が追いついていないですが、クルマが車線変更で斜めを向いていても、ヘッドライトの光は、
「車線に沿って」
まっすぐ照らされるのかもしれません。
ポルシェ曰く、新型HDマトリクスヘッドライトに備わるこの機能は
「レーンライトアップ」
というものだそうな。
車線を正確に照らすためにはフロントカメラとナビゲーションシステムを利用しているのだそう。
これによって、
「より明るく、よりインテリジェント」
に先方を照らすことが可能になっています。
たとえばインテリジェントな例だと、
「工事現場ライト機能」
というものがあります。
車線が狭くなっていることを検知すると、オンライン経由での交通情報を取得して該当区間だけ光束を制限すると説明されています。
さらに対向車線に対しても「眩しくないよう」ドライバーの目線部分だけを減光しつつ、しかしちゃんと先を照らすことができると紹介されています。
(必要な部分の減光は行うが、全体の光の強度は落とさないらしい)
ポルシェはこのヘッドライトについて、
「まさに革命」
「昼間のような明るさを約束」
としています。
ここまで主張されると「いったいどれくらいスゴいのか」を体感してみたくなってしまいます。
タイトルの苦悩はどこぞや?となるので、ここから解説します。
今やポルシェのトレードマークとなった
「クワッド」
型の光源デザインを維持しています。
※クワッド=4つという意味
これらのユニットによって、
・デイタイムランニングライト
・ロービーム
・ハイビーム
を使い分けることとなっています。
そして、そのルーツは10年前に発表されたポルシェ918スパイダーにまでさかのぼります。
これに採用されたヘッドライトは、
・4点式デイタイムランニングライト
・ロービーム
・メインビーム
という構成を持っていました。
が、デイライト4つの真ん中にプロジェクター式テッドライトがあったため、夜間は「5点」の光軸となっていました。
ポルシェのエンジニアはこれを
「なんとか4点にしよう」
ということで技術的な取り組みをここから開始しています。
ここで頑張ったのがデザイナーのハインツ・レドリヒ氏とエンジニアのロバート・ヘーレ氏。
当時は「4点」のみでヘッドライトすべての機能を賄うのは技術的に不可能だったそうです。
2016年に登場したパナメーラに備わっていた、
「84もの光点を備える(ポルシェ初の)マトリクスLEDヘッドライト」
が実用化されていますが、その時点でもまだ5点にて発光せねばならなない状況だった模様。
最新EVのポルシェ・タイカンですらまだ「5点」なので、「4点」を達成するのは相当に困難であったことが伺えます。
ただ、同じ2016年には新しい技術が登場しており、これが新型カイエンのヘッドライトに搭載される「高解像度HDマトリクスライト」となっています。
これは1つのヘッドライトの中にに何千もの光点を内包するシステムです。
ただし、当時は量産できるものではなかったといい、2018年になってハード、ソフト両方の技術が進歩することで、
「夢の4点式ヘッドライト」
がついに実用化できることが判明したのだそうな。
そこからは一気に開発が進み、今回ようやくカイエンに4点式ヘッドライトが搭載されることとなっています。
ポルシェの新型HDマトリクスLEDヘッドライトの4つの光点は上段と下段とに分かれています。
4つの光点それぞれがデイタイムランニングライト用の細いLEDライトストリップを備えています。
ハイビームは(6個のLEDを備える)上段にあるダブル機能モジュールによって生成。
下段2つがHDモジュールとなり「インテリジェントな」配光を実現することになります。
このモジュールの中には、
「親指の爪の半分くらい」
のチップがあり、この中になんと、
「16,384個ものマイクロLED」
が組み込まれているとのこと。
さらに驚かされるのは、16,384個のマイクロLEDを個別にコントロールできるということです。
これによって「光のカーペット」が実現しているようです。
そしてこのLEDモジュールの光投影の精度と解像度は、
「実際にスクリーンに映画を投影することができるほど」
だと説明されています。
このヘッドライトの完成をもって、ヘッドライトにすべてを賭けたポルシェの2人のエンジニアの夢がいったん結実したと言えそうです。
そして、ここからも分かる通り、ライト技術は飛躍的に向上しています。
その結果、ライト関連のアフターマーケットへの参入が難しくなってくる要素ともなっているのは、忘れてはいけない事実です。
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