EV=諸刃の剣?

現在世界中の自動車メーカーが苦戦しているのが「EV化への対応」です。

自動車メーカーの立場から見て様々な問題があります。

主には、

・研究開発費がかかる
・製造コストがかかる
・販売に追加コストがかかる
・修理コストがかかる(高い)

となっています。

恐らくは、ガソリン車を作ってきた既存自動車メーカーにとっては、

「できればEVはやりたくない」

というのがホンネなのかもと考えてみたり。

そして、既存自動車メーカーにとって悩みの種となるのが「ガソリン車との価格バランス」です。

たとえばトヨタで似たクルマを比較すると、

・bZ4X(EV):600万円〜
・ハリアー:312,800円〜
・RAV4:2,938,000円〜
・ランドクルーザープラド:3,676,000円〜
・ランドクルーザー:5,100,000円〜

といった具合になります。

この状況(価格差)ではとうていbZ4Xが売れるはずがないことがわかります。

これは他メーカーでも同じ状況となります。

また、GMも、

「EVの価格設定には苦慮している」

というコメントを出しています。

「3万ドルから4万ドルのEVは現時点では採算が取れない」

とも嘆いています。

EVの要である、

「満充電あたりの航続距離」

を伸ばそうとなるとバッテリーのコストが上がります。

すると製造コストも高くなります。

ただし、販売価格を高くするとそのEVは売れないので開発コストを吸収できません。

とまぁ、現在かなり困ったことになっている模様。

GMのCEO兼会長メアリー・バーラ氏は

バッテリーコストは、大衆市場、つまり3万ドルから4万ドルの車、つまり世界中の新車販売の大部分を占めるCセグメントのような(内燃機関を搭載する)クロスオーバーSUVに到達できるレベルにはまだありません。

とコメント。

※高価格EVを優先してリリースするのはここに理由がありそう

ただし、

「元が取れない」

からといってそのセグメントのEVを販売しないと、EV市場における覇権を獲得できないばかりかプレゼンスを失ってしまいます。

現在は「利益が出なくても」売るしか無いという状態となっています。

「ではどうやって会社を存続させるための利益を得るのか?」

その手段は、

・より市場が大きく
・より大きなSUVやトラック

を大量に販売することなのだそうな。

つまり、

「少しのEVを売るために、大量の大きなトラックやSUVを販売せねば会社が存続できない」

という意味不明な状態となっています。

もちろんこれは、GMだけにあてはまる事象ではありません。

ただ、現在の

・社会情勢
・規制

を考慮すると、EVをどんどん開発して販売せねばならないことも間違いありません。

そしてこの状況は自動車メーカーの財政を圧迫することにもなります。

GMのように、

「ガソリン車の販売によって、EVのマイナス分をカバーできる」

のはまだいい部類です。

というのも「ガソリン車を持たないEVメーカー」は惨憺たる状況にあるためです。

テスラが黒字化するのには相当に長い年月を要しています。
(黒字化したのはつい数年前)

中国で「三大EVメーカー」のひとつに数えられるNIO(蔚来汽車)は2023年第1四半期において、

・売上高:前年同期比7.7%
・損失額:前年比165%(47億4000万元)

に拡大したと発表しています。

この状況は、

「いかにEVで利益を得ることが難しいか」

を如実に表しています。

(三大EVメーカーの残りの2つはLi Auto=理想汽車とXpeng=小鵬汽車)

こういったところからも、EVはテスラの様に新たな覇権を握れる可能性があるものの、会社そのものが倒れかねない諸刃の剣となっています。
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【本日の名言】『 イチロー / 元MLBプレイヤー 』

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