以前に何度か触れたように、テスラは
「25,000ドル以下の安価なEV」
を発売する計画を持っています。
が、最近発刊されたイーロン・マスク氏の伝記(ウォルター・アイザックソン著)によれば、同氏はこの案には2021年2月の時点では反対であったと記載されているそうな。
記述によると、イーロン・マスクCEOは「25,000ドル以下のEV」の代わりに、テスラの全リソースを自律走行機能の研究にコストを投じたかったとされています。
しかし、テスラの経営陣が「それよりも先に25,000ドル以下のEVも作る」ようにとイーロン・マスクCEOを説得したとされています。
ただ、このEVについては、
↓
自動運転機能を備え、自身が乗らないときにはロボタクシーとして路上を自動で走らせ、お金を稼ぐことができる。
↑
とされており、結果的にはイーロン・マスクCEOとテスラ経営陣との「折衷案」となってしまった感がなくもありません。
ただし、この著書の中では、イーロン・マスクCEOが目指したのは、
↓
ミラーもペダルもハンドルもない完全自律走行電気自動車
↑
であったといい、同氏は、
・そのリスクを取る
・失敗したら私の責任だ
・私は、中途半端な両生類のカエルを設計するつもりはない。
・自律性を追求する
と主張した模様。
実際問題として、、、
テスラ経営陣はこの実現が短期的には不可能だと理解していた模様。
そこで、テスラ経営陣がイーロン・マスク氏を説得するのに用いた手法は、
↓
米国の規制当局が自律走行車を承認するまでにはまだ長い道のりがある。
他の市場でももっと時間がかかる可能性があり、よってまずは通常のクルマとして発売する。
そして、時期が整えばステアリングホイールやペダル類を取り外せるようにしてはどうか。
↑
というものだったそうです。
ただ、イーロン・マスクCEOはこれに対してもすぐには首を縦に振らなかった模様。
そこで、テスラのデザイン責任者であるフランツ・フォン・ホルツハウゼン氏をはじめ、上位職者が根気強く提案を続け、ようやくイーロン・マスクCEOの説得に成功したのだそうな。
そしてこの著書では、具体的にどうやってイーロン・マスクCEOを説得したのかについても記載がなされています。
その決定打となったのは、
・実際に25,000ドル以下のEV
・イーロン・マスクCEOの求める完全自律走行車
のモックを二台並べてイーロン・マスク氏へと示すというもので、これによって同氏の心変わりがあった模様。
これら二台はいずれもサイバートラック風の外観を持っており、ここではじめて25,000ドル以下のEVの「開発承認」がおりることになったとされています。
そしてこのクルマは次世代の「低コスト」プラットフォームを使用することになることに。
そして、驚くべきはこのプラットフォームを使用して完全自動運転機能を持つ、
「ステアリングホイールやペダルがない」
バージョンも作られる予定であると書かれているのだそう。
つまり、イーロン・マスクCEOは「25,000ドル以下のEV」の承認を行ったものの、完全自律走行車のプランを捨てたわけではないというこになりそうです。
どうにかして、25,000ドル以下のEVにに乗っかる形でこれを実現しようと考えている、ということになりそうです。
(この自動運転版の発売がいつになるかは皆目検討もつかないです)
もしかしたら、テスラ経営陣は「こうなること」を想定し、あらかじめ2台のモックを用意したのかもしれないとも考えてみたり。
いずれにせよ、天才的な頭脳をもつ経営者と、それをバックアップする幹部がいるからこそのテスラであろうことは間違いありません。
ここ最近、EVをめぐる他メーカーの動きが怪しくなっている中で、テスラがどうEVの波を推し進めていくのか楽しみです。
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【本日の名言】『 イーロン・マスク / テスラ創業者 』
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