日産は2022年に、
『今後のソリッドステートバッテリーに関する計画』
を下記の様に公表しています。
①2025年:パイロット生産設備立ち上げ
②2026年:生産設備を整備
③2028年:実用化
そして日産のヨーロッパ拠点にて研究開発担当副社長を務めるデビッド・モス氏が、
『ソリッドステートバッテリーの3つの主な利点』
ついて語っています。
ソリッドステートバッテリーとは『全固体電池』を指しています。
これが実用化できれば、
①充電速度が3倍
②最大で400kW
③リチウムイオン電池比でエネルギー密度2倍
④製造コストが半分
になると語っており、パッと聞く感じでは『いいことづくめ』です。
現在のEVの車両価格のうち、コストの約60%を占めるのが『リチウムイオンバッテリー』とされています。
(車両価格帯によって異なる)
日産の主張通りのスペックを持てば、
・価格が同じであれば航続距離が倍
・航続距離が同じであれば大きく価格が下る
ということになります。
バッテリーは最終的には薄く平たくなり、ノートパソコンくらいのサイズとなるそうな。
この全固体電池は読んで字の如く『すべてが固体』となっています。
要は、現在のバッテリーの様に電解液をまったく使用しないということになります。
日産いわく、
『電解液の除去に関しては我々がもっとも進んでおり、優位に立っている』
のだそう。
この全固体電池が実用化できれば、
『バッテリーの消耗が大きすぎて』
現在のリチウムイオン電池では実用化が難しかった、
・大型のピックアップトラック
・SUV
・トレーラー
などのEV化が可能になるといわれています。
(今の技術的でも可能だが、バッテリーサイズが大きくなるので価格が異常に高くなる)
日産は残固体電池の実用化による『車種の拡大』も視野にいれている模様。
なお、日産は、
『現存するいずれのモデルにもソリッドステートバッテリーは積まない』
としています。
というのも全固体電池を積むには、バッテリー密度がリチウムイオンバッテリーとは全く異なるから。
つまり新しい専用プラットフォームが必要となるということです。
そしてバッテリーサイズは二種類になるとも。
加えてソリッドステートバッテリー実用化以後であっても、日産はリチウムイオンバッテリーも共存させると発表しています。
現在開発中の次世代リチウムイオンバッテリーは2028年に登場するのだそうな。
この新型リチウムイオンバッテリーはコバルトを使用しないことが特徴です。
これによって最大で65%のコストダウンが可能になるとされています。
参考までに、日産はガソリンエンジンの将来についても以下の様に言及しています。
引き続きガソリンエンジンは作り続けるものの、ユーロ7規制(排ガス規制)を満たすための改良は行わないと明言。
厳しい排ガス規制をクリアさせるとなると、EUではガソリンエンジン搭載車の価格が大幅に上昇することになります。
逆にEVはコストダウンによって手頃な価格になるだろうという観測が働います。
ガソリン車とEVの価格が同等になるのは、
『NO=いつか、YES=いつ』
という状況が近づいてきています。
実際にデビッド・モス氏は、
『両者がコスト面でクロスするのは、そう遠い先の話ではない』
と述べています。
ちなみに、トヨタは2025年までに他社に先駆けて固体電池を搭載した市販車を発売すると公言しています。
これが実現されれば日産は、
『ソリッドステートバッテリー採用一番乗り』
ではないということになります。
が、現在のリチウムイオン電池搭載車であっても実走テストでは
『散々な結果』
に終わっているトヨタなので、2025年の実用化は困難だろうと考えています。
(ただし、トヨタがこの分野では、もっとも先行しているという報道もある)
このほかにも、BMWも2028年の実用化に向けて動いています。
日産、BMW、トヨタが他社に先んじて全固体電池の実用化を行うことになればEV市場の熱が更に加速化しそうです。
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【本日の名言】『 豊田喜一郎 / トヨタ創業者 』
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発明は知識そのものよりも、それをいかに自分のものにしているかにかかわる。
学校を出ない人が往々にして相当な発明をするのはそれ故である。
これを世の人のために活用し得るまでには、いろいろな研究と大きな努力がいる。
その努力の中に発明が生まれてくるものだと私は思っている。発明は努力の賜である。
↓
『好きこそものの上手なれ』
という言葉も連想できる言葉ですね。
努力も大事ですし、そもそも好きでなければ『発明』という困難な道に踏み込んだりはしないだろうなとも感じます。
日本企業の創始者達は人間というものを、よくよく理解しているのだなぁとつくづく感じますね。
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